Bellmare

ビッグウェーブをもう一度
〜湘南ベルマーレ再生物語



終了間際のドロー。でも長い目でみようじゃないか。
vs大分トリニータ 01.7.11@平塚

 勝ったな…と思った直後の出来事だった。
 後半ロスタイムもロスタイム。DFとGKの間にふわりとルーズボール。必死で延ばした井手口の足に触れたボールが、伊藤の頭上を越えて…。
 まさかの同店ゴール。グランドの中の選手たちも、さすがにがっくりと倒れ込んでた。
 でもって、結局延長に入っても、たくさんあったチャンスを決められず、ドロー。
 勝ち点2を損したような気分にもなりそうだが、もう少し記憶を巻き戻してみれば、前半のベルマーレはそれはひどい出来で、負けてもおかしくなかった。とすれば、勝ち点1得した?

 まあ損得は僕の興味の外なので置いておくとして、前半のベルマーレは、本当に寝ているようで、起こしてやりたくなった。
 相手ボールを奪って、さあ攻撃…という瞬間にも、ほとんどの選手がぼーっと立ったまま眺めているだけ。スペースへ出る選手はいないし、動き出しは遅いし。うーん、攻守の切り換えが遅い、というより、攻守の切り換えが「ない」ような時間帯もあって、久々の観戦で期待の大きかった僕にとっては、かなり「…」。

 後半は(きっとハーフタイムに田中監督が雷を落としたのだろう)ずいぶんまともになって、保の2ゴールで逆転。保はとてもよく頑張っていて、最後はもう踏ん張りがきかないような状態だったけど、毎試合あそこまで自分を追い込んでやっていれば、必ずシーズンが終わる頃には、もう一皮むけて、もっともっといい選手になると思います。もともとスピードや、キレはかなりのものがあるのだから。

 素晴らしかったのは、後半から入った堀。相手ボールをカットし、パスコースを切り、さらに奪ったボールをキープし、展開し、おまけに仕上げのラストパス。何だか小野伸二を見ているような気さえしたくらい(少し大袈裟かもしれないが)。
 試合後に田中監督に「どうして最初から出さないんですか?」ときいたら「若手にチャンスを与えて伸ばさないといけないから。それに堀は、そういうことを理解して、文句も言わないし、出ればちゃんとやってくれるから」とのこと。
 それを聞いて、僕はさらに堀のチームの中での役割を感じた次第。伊藤もそうだけど、ベテランの力はやっぱり大きいなと。

 さて結果的に、引き分けに終わってしまったゲームでしたが、まずいプレーとか、実力不足はありつつも、とにかく最後まで、ガス欠になるところまでベルマーレの選手はボールを追っていたし、僕としてはさほどの不快さは感じない120分間でした。何のんびりしたこと言ってんだ!と怒られそうですが、田中監督も「まあ長い目で見てください」とのこと。
 それにまだまだ5位。チャンスは十分にあるのだし。

 それよりも(特に延長になって)メインスタンドから飛んだ野次は、不愉快な感じでした。主に「走れ!バカ!」「あ〜もうヘタクソ!」とかというようなものだったのですが、聞いてて何てゆ〜か、プレーヤーの息遣いや体の傷みを全く知らないんだぁ、というあたりが不愉快さの原因。

 マラソン中継とか見てても思うんだけど、選手と同じレベルの経験はできないにしても、せめて1キロ、15分でもいいから、自分が走ってみた経験があれば、苦しさとか、もう足が動かん…とかそういうのって理解できると思うんだけど、ただ見ているだけ、あるいはゲーム的に眺めている人には、そういうのって想像することもできないわけで。

 スタンドから見てると、ほんのちょっとの距離にみえても、実際ボールを追うとなると結構きついわけで…(とっても暑い今日この頃、エアコンのついた部屋でスポーツ観戦の前で、ほんのちょっとでいいので、外を走ってみてはいかがでしょうか。着替えて、ストレッチして、冷房の部屋から出て、という作業だけでも実際やってみると、結構億劫なものですよ)。
 まあ、プロなのだから野次られても当然という意見もありますが、僕は何だか聞いてて不愉快でした。同じ野次でも、気の効いてるツボを抑えた野次なら、決して嫌いではないのですが。

 そんなわけでかなり不機嫌になりかけていた僕ですが、タイムアップの後、バックスタンドから起こった「井手口コール」のおかげで、すっかり上機嫌に戻りました。苛ついていた心に、すーっ涼風が吹き抜けたような感じで、とっても気持ちよかったです。
 やっぱ誰かが誰かのことを想ってすることは、素晴らしいもので、回りにいる人までいい気持ちにさせてくれます。おかげで、僕も、不本意な引き分けではあったけど、楽しい気分のまま、平塚から帰ってこれました。
 サポーターのみなさん、ありがとうございます。そして、これからも素晴らしい応援を。