夢へのリスタート〜2002年の開幕を前に 02.1.25
この10年くらいの間、日本のサッカー関係者が何万、何億回と口にしてきた「2002年」がついにやってきた。
2002年――。
言うまでもなく、それは単なる西暦のことではなかった。この言葉は「2002年ワールドカップ」のことを意味する固有名詞として使われてきたのだった。
招致を志した14年前、それは夢物語だった。いや、夢のまた夢のまた夢…くらいの絵空事だったと言っていい。しかし、今年5月31日、確かにワールドカップは開催される。夢が現実となるのである。
そんな大きな夢のストーリーの最中にあったこの10年ほどの間に、日本のサッカー界では、いくつもの夢がやはり実現した。そしていま、閑古鳥が鳴いていた日本リーグはプロリーグへと移行し、日本代表チームはワールドカップへの出場を果たし、サッカーは国民的関心事になっているのである。
そう、夢はかなうのだ。
そこに夢があり、そのために汗をかく仲間がいて、その実現へ向けて進む意志を持ち続けることができれば。
2002年、湘南ベルマーレのスローガンは「B’s
spirit to the dream」なのだという。「to the
dream」と言えるからには「夢」があるということだ。そして、そのための「spirit」を胸の奥に抱いているということだ。だからこそ、ベルマーレ魂をもって夢へ、目標へ向かうことができるのだから。
ベルマーレの目標とは何か。それはたぶんこのハンドブックのどこかにもきっと掲げてある。財政難のクラブを、現在の(株)湘南ベルマーレが引き継ぐ際に定めた「三つの目標」である。
湘南を愛し、郷土に愛されるクラブであること。
夢と希望を子供たちに与えるクラブであること。
常に世界に挑戦するクラブであること。
もちろんスローガンはキャッチフレーズにとどまってはならない。その実現へ向かって、目指すゴールとして、いつもベルマーレに関わるすべての人が胸の奥に抱いていなければならない。
でも、もしもそんな人々がたくさんいて、それを実現しようとする強い思いがあれば、いつかはきっと夢はかなう――僕はそう信じている。
「藤和不動産サッカー部」を皮切りに、「フジタ」、「ベルマーレ平塚」、「湘南ベルマーレ平塚」、そして「湘南ベルマーレ」と続いてきたクラブのヒストリーはすでに34年になる。
その間には、強い時期もあれば、弱小の身に甘んじたこともある。日本代表選手を何人も抱えたこともあれば、無名選手ばかりのチームだったこともある。
歴史とはそういうものだ。そこに永遠の成功もないし、取り戻せない失敗もない。あるのはただ夢を信じたり、うちひしがれたり、ガッツポーズをしたり、悔し涙を流したりした日々の記憶、そしてその蓄積である。そんな経験を重ねながら、クラブは続いていくのだ。
そして、そのクラブとは、選手や監督、スタッフだけでなく、サポーターをはじめとした応援する人々すべてを含む。極言すれば、僕たち一人一人の記憶こそが、ベルマーレというクラブそのものだと言っていい。
そんな思いを共有する仲間が集い、語り、感情を震わせられる場所がサッカー場であり、その真ん中にベルマーレが存在するのだ。
だからこそ、僕たちはベルマーレを大切にしたいと思う。チームの勝利を応援し、クラブがいつまでもここにありますようにと願う。それが僕たちにとってHappyなことだから。
ベルマーレは、昨年のビーチバレーチームに続き、今シーズンからトライアスロンチームを発足させた。
ビーチバレー、トライアスロンともに、太陽と海を想起させる開放的なスポーツだ。とても「湘南」的で、どことなく清々しい。
加えて言うなら、ベルマーレというサッカーチームが持っている不思議な風通しの良さも、やはり湘南らしいと思う。
とにかくサッカーだけではなく、ビーチバレーやトライアスロンも加えて、湘南にふさわしいスポーツクラブへと、いまベルマーレは動き始めたのである。
湘南の潮風を浴びながらクラブが新たなスポーツを仲間に加え、そんなベルマーレが湘南地域の求心力になっていく未来を、いま僕は夢見ることができる。
そこではたくさんの子供たちが、色々なスポーツを楽しみ、ベルマーレが主催するゲームやレースが地元の人々を巻き込んで行われるのだ。水着で砂にまみれ、自転車で疾走し、緑の芝の上でボールを蹴り…。もちろんプレーヤーも、ボランティアも、サポーターも、みんな笑顔だ。
そのとき、ベルマーレは郷土の人々に愛されるクラブになっているだろう。そして子供たちは希望に溢れ、瞳を輝かせ、ここから世界へと漕ぎ出していくのだ。湘南の海の匂いとベルマーレのスピリットを胸に抱いて。
夢があり、それを共有できる仲間がいて、そこに強い意志があれば、いつかその夢はかなう。僕はそう信じている。
(*本稿は「ベルマーレハンドブック2002年版」へ寄稿したものです)