BELLMARE 2003

 ホーム最終戦   2対2 vs川崎  @平塚  03.11.15


 ベルマーレの今季ホーム最終戦。今年は思いがけなくひどいシーズンになってしまった。すごく大きな期待を持って開幕に臨んだだけに、この結果はやはり「ひどい」と言わなければならない。正直な話、失望も大きい。
 それでも序盤戦は結果こそ出なかったが、それなりのサッカーをしていたのだ。あそこでうまく勝ちを拾えていればなあ…と未練がましい僕はいま振り返ってもやっぱり思ってしまう。
 もちろん「if」とか「…たら」は勝負の世界にはないわけで、このゲームを終えたリザルトが「2003年のベルマーレ」と受け入れなければならない。
 受け入れて、そして反省と対策を経て、再びそこからスタートする。
 勝負の世界も、誰かの人生もその繰り返しである。反省と対策を欠かすと怠け者ということになるし、再起できなければ挑戦者ではなくなる。
 そして挑戦者ではなくなるということは夢を追う権利を失う(自ら手放す)ことだ。だから、このプロセスを経ないで語られる夢は、夢というよりも願望に過ぎない。願望とか希望と、夢や志とは似て非なるものなのだ。このプロセスを経て勝ったり負けたりしながら、悔しがったりガッツポーズしたことがない人にはそれがわからず、簡単に夢を語る。夢は語るものではなく、実現するものだ。少なくとも実現しようとチャレンジするものだ。

 すっかり脱線してしまったみたいなので、簡単にまとめてしまうと、勝負の世界の特異性は勝利と敗北、勝利者と敗北者の処遇が決定的に変わるということだ。その点において、勝負の世界は誰かの人生とは随分異なるし、だからこそ尊敬されるし、美しくもある。
 要するにこのオフ、今季のベルマーレの選手たちの多くがチームを去るか、減俸になるということだ。切ないことだけど仕方ない。儚いからこそ、彼らのプレーに僕らは敬意を抱くのだ(そうでなければ、ただのお兄ちゃんだ)。
 いかにJ2であれ、いかに下位に低迷するチームであれ、この原則を守れなければクラブは結果的に存在意義を失ってしまう。勝負の世界に身をおかないプロ選手が魅力的であるはずはないからだ。
 もちろん毎年メンバーをガラッと入れ替えてしまうのは問題があるし、長期的な視野が必要なのは言うまでもない。誰が必要で、誰が不要か。誰が伸びしろが期待できるか。それを見定めるのが反省と対策である。
 もちろん、このプロセスに金持ちクラブか、貧乏クラブかは関係ない。それぞれのクラブがそれぞれの環境に照らして粛々と行なうのみである。それは誰かの人生であっても同じことだ。

 さて、川崎戦。キックオフ時間を間違えた僕は後半途中からの観戦になってしまったので内容はわからない。結果は2対2だった。
 でも、スタンドには久々の満足感が漂っているように感じた。きっといい試合だったのだろう。

 それでもスタンドには「ベルマーレの色は何色なのかはっきりさせろ!」の横断幕が出ていた。当然だと思う。「今季の失敗を無駄にしないために何をするの?」ともあった。
 こういうのが出なくなったら、もう終わりだ。期待があれば失望もある。失望して、悔しがったり、怒ったりして、それでも未来のことを考え始めているからこそ、ああした横断幕が出る。健康なことだと思う。

 それにしても試合後の山田監督の挨拶の第一声、「みなさん!今日の試合はどうでしたか?」にはびっくりした。あんな明るい声出す人なんだ、山田監督って。
 ただ「選手たちはゆっくり成長しています」というコメントはあまりにも堂々とし過ぎているように僕には響いた。記者会見でも「ピッチ上で自分を表現できるようになってきた。彼らはすぐに迷子になってしまうので、ピッチに出るまでのメンタルも大事。道標が見えてきたのでは。彼らはいま飢えている」と言っていたが、やっぱり少し悠長に聞こえた。
 山田監督は今季途中から指揮をとったので、たぶんまだフレッシュなのだと思う。でも、サポーターたちは今季途中から、ではなく、去年も、その前も、そのまた前も、ずっと期待してきたのだ。そのあたりの温度差が今後ミゾにならなければいいのだが。

 そして川崎。痛い。
 大遅刻した僕はスタンドには上がらず、川崎のベンチ裏で試合を見ていたので、タイムアップの笛が鳴った瞬間ベンチを出てロッカーへ向かう石崎監督と正面から出くわすことになった。沈痛な顔だった。
 それでも十数分後の記者会見では、すっかりさばさばした表情になっていて、「まだ可能性があるということで一週間頑張りたい」と笑顔さえ見せた。十数分の間に広島、新潟との関係を知って、随分落ち着いたのだろう。
 ただ、逆転昇格への意欲がめらめらと燃えている、というふうには見えなかった。もしかすると、どこかで悟っているのかもしれない、と彼の顔を見ながら思った。




about KNET
川端康生の個人サイトです。
KNETについて
History
Books&Movies
Bellmare
Column
Works
I'm here

Mail to