風の歌を聴け/村上春樹
朝から辻堂にサーフィン(初めての)に行き、爪をはがし、病院へ行き、でもPカンで、珍しくうちでビールが飲みたくなるほど上機嫌で、と条件が揃った結果、突然読みたくなって、太陽の下ベランダへ出て、久々に読んだ。懐かしさというより、心地よかった。そして、いま思いついたのだけど、今日は僕が初めて寝た女の子の誕生日だ。やっぱりビールを飲むことにしよう。(03.8.28)
おじゃれ女八丈島/荒馬間
八丈島で滞在していた民宿のお嫁さんが、一人で本を読んでいる僕を読書好きだと思って貸してくれた本。八丈島を舞台に、しかもたぶん史実をもとに書かれた小説。話自体はわりとありきたりだし、文章もとりたてて練られているわけではないのだけど、なぜかぐいぐい読み進めた。小説には上手/下手とは異なった物差しのこういう力強さで目を引くものが時にある。(03.8.6)
誰が本を殺すのか/佐野眞一
「本」の世界を川上から川下まで、つまり著者から版元、取次、書店、読者、さらに図書館や書評、そして新たな波、電子出版までルポタージュした1000枚の大作。ノンフィクションとは書き手の人生や価値観が試されるもの、ということが身に染みる。また僕自身も身を置き、日頃から疑問や苛立ちを感じている「本」の世界の諸々については共感し、そんな疑問や苛立ちをもどかしさを抱えつつ自己完結させるのではなく、作品へと昇華させていく著者の豪腕ぶりにまたも脱帽。(03.2.10)