COLUMN



 J開幕。3試合雑感。(00.3.12)

 Jリーグが開幕した。初日はJ1を2試合、日曜はJ2を見た。

 まず国立競技場の鹿島vs名古屋。個人レベルで見れば、Jでもトップランクの選手たちが集まっている両チームだけに、それなりの試合は展開された。
 とはいえ、例えば名古屋・平野のように、十二分な肉体的素質を持ちながら、それを発揮しようとしない選手が数人いたのは残念。

 常々思っていることだが、才能、あるいは潜在能力なんて言葉にはあまり意味がない。肉体的な能力は現実に使ってこそ、なのだ。才能を発揮する「才能」がなければ、それは実力とはなり得ない。
 要するに<フィジカル>は道具に過ぎず、それを動かす<メンタル>が弱ければ、結局、実力がないのと同じこと、ということだ。
「いいもの持ってるのに…」と勿体ない気持ちになりがちだが、それは「勿体ない」ではなく、「できないのだからしょうがない」と評価すべきなのだ。

 両チームの監督の采配は、わかりやすく面白かった。先制された名古屋、ジョアン・カルロスは、選手を代えながら、4バック→3バック、さらに攻撃的に、とチームを変えていき、鹿島、トニーニョ・セレーゾは、できるだけ我慢をした後、守りを固め、時間を稼ぐ、という交代で、逃げ切った。ともに狙いがはっきりした采配で、成否はともかく、戦略的な意味でわかりやすく楽しめる試合だったと思う。

 続くナイター、横浜vs東京は…正直言ってがっかりした。「がっかり」を通り越して「腹立ち」すら感じる90分間。
 東京は昇格組という「エクスキューズ」と、勝ち点3という「結果」を手にしたことを考え合わせれば、まだ許せるが(それでもスポーツ紙各紙が絶賛するような試合ではなかった。例えば「守ってカウンター」という目論見通りだったというわけではない)、それにしても横浜Fマリノスはひどかった。

 鹿島や名古屋同様、能力はある選手たちがいるはず(それすらも疑わしく思えたが)なのに、誰も「勝負」する選手がいなかった。「勇気」なき選手たちのチンタラしたゲームは、見ていて不愉快だった。何かを感じた選手は、俊輔と川口だけ。
 メリハリなし、意志なし、何をしたいのか、何を売っているのか、全く不明。代表レベルの選手たちも、個性すら見せなかった。あれなら「君じゃなくて他の選手でも一緒だよ」と言いたくなった。勢い込んで臨むはずの開幕戦でこの状態では、昨年同様の結果になるに違いない。

 加えて言えば、横浜国際のシラケ感にも脱力感を覚えた。もともと見にくいスタジアムという認識はすでにあったのだが、国立と続けて見ると、その臨場感のなさ、漂う空気の白々しさは、情けなくなるほど。7万収容の器に21841人、という理由だけではない気がした。
 あのスタジアムには何か決定的な欠陥があるのではないか。素晴らしいプレーが素晴らしく見えないスタジアム、そんな思いがした。2002年の決勝をやるにふさわしくないのではないか…と首を傾げたくなった。

 続く日曜は平塚競技場で、平塚改め湘南ベルマーレと仙台のデーゲーム。湘南が快勝。これはまさに快勝だった。台風一過の青空のようなゲームだった。
 湘南については「ベルマーレ」のコーナーで詳しく触れるとして、仙台は13人もの補強で個人レベルでは上がったはずなのに、チームミニマムがアップした印象がなかったのはなぜだろう。40試合、8ヶ月の長丁場ではあるが、両チームの今後はくっきりと明暗が別れたような…。仙台が過ごす8ヶ月は随分辛そうだ。

 さて土曜のJ18試合の平均観客動員数(13338人)は、同日のJ2駒場(18422人)の後塵を拝した。国立、横浜国際というビッグスタジアムを擁してこの結果は、ゆゆしき事態だろう。
 しかも開幕である。Jリーグ開幕を楽しみに待っていたファンが、この程度しかいなかったという「事実」を真摯に受け止めなければならない。
 まずは「現実」を認めること。そして「今後」どうするかを真面目に考えないと、今オフにまたもや…ということにもなりかねない。