COLUMN

 河島英五さんのご冥福を祈ります。(01.4.16)

 忘れてしまいたいことやどうしようもない侘しさに
 包まれたときに男は酒を飲むのでしょう
 飲んで飲んで飲まれて飲んで
 飲んで飲み潰れて眠るまで飲んで
 やがて男は静かに眠るのでしょう

 またひとつ女の方が偉く思えてきた
 またひとつ男のずるさが見えてきた
 俺は男
 泣き通すなんてできないよ
 今夜も酒をあおって
 眠ってしまうのさ

 20年くらい前に初めてカラオケで歌ったのがたぶんこの曲だと思います。
 当時はいまのように通信でもレーザーでもなく、8トラックのカセットでした。
 場末のスナックのカウンターの隅にあったあのカラオケセットがあの頃の僕には「大人の箱」のように思えました。
 そして、この歌もやっぱり大人の歌のように感じてました。当時の僕には、まだよくわからない大人の歌。

 あれから20年。僕も36歳。ちょっと背伸びして歌ったあの歌詞に、いまではすっかり共感してしまうようになりました。
 だからこそ、大人になってからは歌う気になりませんでした。
 「侘しさ」を感じたくなくて、悟りたくなくて、無垢な勢いを失いたくなくて。

 でも今夜は久々にカラオケで歌ってみようと思います。
 人は経験を重ねて、経験から離れていくものだし、それでも自分なりの人生を全うしなければいけないものだということを認めざるをえない年齢に僕もなったのだから。

 河島英五さんのご冥福をお祈りつつ。