COLUMN

 [After 2001.9.11]
 テロから5ヶ月が経って。       02.2.11



 あの壮絶な光景をテレビ画面を通して目にしてから、5ヶ月が経った。
 そして、いまソルトレークシティ五輪を見ながら、つらつらと書いている。

 この国際イベントの開催そのものが危ぶまれていたことはご存知の通り。付け加えるならば、あと100日後に迫ったワールドカップの開催も、同じ議論にさらされた。

 言うまでもなく、テロという目的をもった武力行使にとって、世界中が注視するイベントはターゲットとしての価値が高い。言い換えれば、危険度が高いということになる。

 そんなわけで、五輪組織委員会も、ワールドカップ組織委員会も、この数ヶ月間、セキュリティ強化のための奔走してきた。ソルトレークから漏れ聴こえてくる厳戒態勢に、我々も今年5月から6月にかけて直面することになる。
 不自由なことだが、その不自由さを享受しなければならない世界情勢こそが問題なわけで、もし不自由さを解消したければ、根本問題について考えを巡らせなければならない――ということが基本姿勢となる。

 うーん、何やら難解ぶっているだけで、よくわからない言説になっているな。でもまあ、意識の半分をテレビ画面に割きながら書いているのでしょうがない。

 何はともあれソルトレークである。
 開会式。マライアキャリーの歌うアメリカ国歌は心に染み入るように静かだった。
 それは決して彼女がバージンレコードから契約解除されたばかり、という世知辛い経済情勢のせいではなくて、もっと深密な世界とアメリカの状況のせいだったと思う。

 そしてワールドトレードセンターの瓦礫から回収された破れかけの星条旗。
 一週間前のスーパーボウルでも掲げられたこの国旗に、アメリカ国民のアイデンティティとロイヤリティは高揚する。
 以前書いた「アメリカって広告代理店っぽいんだよねぇ」などというチャラけたフレーズを今後使いにくくなるほどの、リアルな愛国心がそこにはあった。

 つい先日、映画『13デイズ』を見た。
 キューバ危機下のアメリカで、戦争を回避するために奔走した男たちの物語である。そして、結果的に外交交渉によって核兵器使用もありえた戦争は回避される。
 しかし、それは同時に、アメリカという国が内包している危険性を吐露する映画のように僕には見えた。

 アメリカが国歌と国旗をまさしく旗頭に、拳を突き上げて叫んでいる頃、日本ではアフガン復興支援のNGOを巡って国会が紛糾し、外務大臣と事務次官が更迭された。

 アメリカの醸し出す強さとたくましさと危険な香りと、日本の……何だろう?、とにかく日本的「甘えの構造」(by土居健郎)との、どちらを愛せばいいのか僕にはわからない。

 ただ思い浮かぶのは映画『13デイズ』の結びの言葉である。

 O,GOD,THY SEA IS SO GREAT.
 AND MY BOAT IS SO SMALL.


 国威発揚的五輪を横目に、そんな普遍的な言葉が妙に胸に迫るテロから5ケ月後の今宵である。



01.9.24 [After 2001.9.11@]テロから2週間経って。

01.11.20 [After 2001.9.11A]テロから2ヶ月が経って。


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