COLUMN

 久々に、近況&仕事の雑感。        02.4.15


 すっかり春ですね。みなさま元気で、そしてハッピーに毎日をお過ごしでしょうか。
 まあ、いまのご時世「ハッピー!」なんて能天気な感慨をもって生きている人はほとんどいないとも思われますが、それでも「一夜も一生も同じ夢」。お花見を思い出して、陽気に楽しく乱舞するのも悪くないかと。

 さて(このパターンは)随分久々ですが、近況報告と仕事などの雑感をずらずらと書いてみようかと思っています。

 まず何はともあれ、ワールドカップがいよいよあと46日に迫ってきました。日本サッカー界が15年余り前から追いかけてきた夢の実現、というと大部分の人にとっては、いささか実感に欠けるかもしれませんが、何はともあれ、僕にとってもここ10年近く夢想してきたビッグイベントでした。

 そんなわけでワールドカップまで約120日に迫った頃、つまり今年のお正月に、僕は「ワールドカップまではサッカーに没頭する」と決めたのでした。
 お友達の杉山茂樹さんの本のタイトルではないですが、僕も「サッカーだけじゃつまらない」派だったのですが、今年は好奇心&バランス感覚を封印してでも、6ヶ月間サッカーにまみれてみようと。
 それは主に仕事に関する決め事でしたが、僕にとって仕事に関する決め事というのは時間的にも精神的にも意欲的にも大部分を占めるわけで、ちょっとした年頭の決心でもありました。

 さらに仕事に関しては、もっと具体的な指針も心に決めて2002年に突入しました。それは4年前、つまりフランス・ワールドカップ時の反省を踏まえたもので…
「4年前もものすごく忙しかった。たぶん今年も同じような状況になるんだろうな。でもいま振り返ってみて4年前は『忙しかった』という記憶は残っているが、『これ!』と誇れるような仕事はしなかったなぁ。今年は同じ徹は踏まないようにしなければ。流されることなく、自分が主体をもって、自分なりに意義があると思える仕事、それもできることならある程度まとまった分量の仕事を時間をかけてきっちりやらなきゃ」
…てな感じ。

 なので、いくつかの(自分が社会的・時代的意義があると思う)企画をたて、それを出版社の方に話し、そのいくつかを実現してきた4ヶ月間でした。
 なかでももっとも力を注いだのが「ワールドカップが実現するまでの物語」(現在発売中の『プレジデント』誌から5回連載で掲載予定)。
 これに関しては、素晴らしい(本当にお世辞抜きで素晴らしい)担当編集者のおかげで、取材に随分時間と手間をかけることができ、僕なりに充実感ある仕事にすることができました(まだ始まったばかりですが)。
 しかも、それだけでも個人的にはかなり満足なのに、連載開始直後より何人もの方からありがたいお言葉を頂くなど、文字通り「苦労した甲斐があったなあ」と大変嬉しく思っています。

 また昨年から今年のはじめにかけての日本代表取材をまとめた単行本『冒険者たち〜日本代表、ワールドカップへの道』(学研)も来週発売になる予定。
 こちらの方は去年から続けてきた「僕」の視点での日本代表記録で、こうした形で一冊の本にまとめることができて、こちらも大変嬉しいです。

 あと仕事に関しては、「お台場どっとこむ」で連載している『Diary〜日本蹴球の挑戦』も、自分にとってたぶん印象深いものになると思います(毎週更新なのでちとバタバタになってますが)。
 今年「ブーム」になるサッカーとワールドカップを、「手触りのある道のり」として提示することで、「ブーム」を少しでも「具のつまったもの」にしたいというのがこの作品の趣旨(これは「プレジデント」をはじめ他の企画にも共通する僕自身の今年のコンセプトでもありました)。

 要するに、「安直」で「お手軽」なものが跋扈する時代、その一方で「諦観」と「倦怠」が充満する時代、に「何かを成し遂げる」という物語を僕は書きたかったのでした。
 その根っこには、簡単に「ムカついたり」「諦めたり」、そのくせ簡単に「傷ついたり」「癒されたり」する世の中に対する僕なりの違和感があるといったら少々キツイでしょうか。
 でも、ここのところ僕にはそんなふうに感じられて仕方なかったものですから。

 そんなわけで仕事に関しては、僕はたぶん「ハッピー」にこの100日間を過ごしてこれたのだと思います。
 もっとも、その一方でいわゆる「プライベート」というか、のんびりする時間はほとんどゼロに等しい状況になってますが。

 まぁ僕は「好きなことをやっているのだから…」と受け入れていますが、それでも大好きなお花見はできないし、それ以上にこれまで日常だった夜の町=アルコールからもすっかり遠ざかってしまうし、スポーツをやる時間も体力も全くないし、それどころか読書や映画を見るヒマさえないし…と、辛いと言えば辛い毎日ではありました(まだ終わったわけではないのですけど)。なんせ睡眠時間どころか、ぼけっとする時間さえ見つけられない時期もあったわけで。

 でも、まあ結局のところ、「楽」なことと「楽しい」こととは「違う」、という当たり前のことをかなり先鋭的にやってみただけのことで、この経験が僕の「普通」を上げるためにきっと役に立つと信じて、もう少し我慢したり、歯を食いしばったりしながら頑張ってみようと思っている次第。

 そんなわけで、ワールドカップまで「あと46日」から、ワールドカップが終わるまで「あと76日」と発想を変えつつある今日この頃。
 それが終われば毎晩朝まで飲み放題さ、と自分をなだめながら、もう2ヶ月、サッカーに没頭してみますです。

 ではでは。
 久々ではありますが、このパターンではいつもながらの「ずらずら」調にて失礼しました。
 何はともあれ春。爽やかに、ナチュラルに、軽やかに、そしてハッピーに、みなさま毎日をお過ごしください。




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