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 [W杯旅日記 0]  旅の始まりに           02.5.30

 いよいよワールドカップが始まります。僕たちの代表が世界と戦うワールドカップ、そして僕たちの国に世界がやってくるワールドカップです。
 これから1ヶ月、日本代表チーム、そして各大陸の代表チームの戦いに興奮することはもちろん、日本のあちこちで、また韓国のあちこちで、日本人として新たな経験とも出会うことになります。

 とにかく「有史以来」(少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、1ヶ月という限られてはいるけど、決して短期ではない期間に、これだけの外国人、それもアメリカやイギリスなどの先進国ばかりではなく、世界の隅々から様々な文化や宗教や人種の人々がやってきて、しかもそれらの人々はコンペティション<勝利を目指した戦い>によってエモーショナルになっているわけで、こんなことはこれまでもこれから先も、この国で起きるかどうかわからないと思います)の一ヶ月を体験することになるわけで、僕自身いまからワクワク(期待)とドキドキ(不安)でいっぱいです。

 もちろん、そのワクワクとドキドキには、大会期間中だけでなく、このワールドカップを経て、日本という国の長所短所が、世界との接点によって見えてくるだろうし、また、これから先の日本にとってのターニングポイントになり得るかも、という未来への思いも含まれています。
 僕だけでなく多くの人がそんな期待感をこめて、このワールドカップを見守っています。そして、いま現在そんなことまで思いを巡らせていない人も、大会期間中の経験――ハッピーな経験も、苦々しい経験も、心温まる経験も、わずらわしい経験も――によって、もしかしたらそんな視点をもつことになるかもしれない。
 ワールドカップとは、それほどの可能性をもつものなのです。

 少し話はそれますが、つい最近印象的なフレーズに出会いました。「読書は旅に似ている。物語を読んでいる間、人は自分とは違う存在になって、物語を旅している。だから僕は旅をしている間は読書をしない」というもの。池澤夏樹氏の文章でした。
 僕なりに意訳させてもらえば、旅をしている間は旅に浸り、読書をしている間は読書という旅に浸る、ということだと思います。

 翻って、ワールドカップも旅に似ています。各大陸予選は本大会の1年以上も前に始まり、日韓にやってくるチームにとっては、この大会はその旅の最終目的ということになります。
 開催国で予選が免除された日本にとっても、4年前に始まった旅の、やはり総決算。それはチームとして強化の旅であり、個人にとってはメンバー入りをかけた旅でもありました。
 観戦者にとっても、これまでワールドカップはまさしく旅でした。開催国を訪れるという意味で。
 それは自国で開催される今回も変わりません。旅の定義が「非日常」であるとすれば。
 もちろん多くの人にとって、日常は粛々と続くのですが、「ワールドカップ」によって周囲の空気が濃く熱く変わり、普段とは違う経験をするとすれば、それはどこか日常とは違う。

 そんなわけで、ワクワクやドキドキ、僕たちの国への、そして未来への思い、日常ではない旅…を、僕が見聞き、感じた「経験」を通して、大会期間中書き綴っておこうと思います。
 一応、いま現在の意気込みというか目標は、毎日更新! いや「ほぼ日」かな。何と言っても移動、移動で、本当に旅がらす状態の一ヶ月間になるわけで、不足の事態も起こるかもしれないし、疲労困憊するかもしれないわけで。
 まあ自分を縛らず、無理せず、でもちょっとだけ頑張って、記していくつもり。更新の遅れや、2、3日まとめてのアップもあり、ということで続けてみようと思っています。
 先に言い訳しておくと、きちんと文章を書く時間的・精神的なゆとりはないと思われますので、随分ひどい書き物になることも必至ですが。

 というわけで、僕はこれから都内の自宅を出て、成田空港へ向かいます。そして開幕戦の行われるソウルへ――。
 旅の始まりです。

                          5月30日未明、自宅にて



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