堀江貴文           04.12.9

 「たかが選手」と「僕の知らない人」。
 プロ野球騒動の帰趨を決したのはこの2つの言葉だった。結果、ファン心理は“アンチ”へと一気に傾き、発言の主である巨人軍のドンは総スカンを食らい、他方、球場には「古田コール」が起き、「ホリエモン」が大ブレイクするのである。
 いわば反権力&反体制。非権力者であり体制の従属者たる大衆は彼らの“反逆”に拍手喝采し、シンパシーを増幅させたのだった。

 だが、この若きITベンチャーの旗手、間違っても「自民党をぶっつぶせ」などと構造改革を叫んだりはしない。
 彼自身が語っている。「僕にストーリーを求めても無駄ですよ」。
 そう、それが救世主であれ、成功者であれ、既存の物語の主人公像に彼をはめ込むことそのものが無意味なのである。
 あえて言えば「僕は僕」。それこそが彼の強みであり、限界でもあるということだ。
 無論、その限界は空であると本人は信じているに違いないのだが。
 最後に黒Tシャツに庶民性を感じている諸兄に一言。あれ、ルイ・ヴィトン製らしいよ。


*本稿は「スポルティーバ」に掲載されたものです。