COLUMN

 折り返し点――2004年総括    04.12.31

 2004年が終わろうとしている。恒例にしたがって今年の総括をする。

 率直な感想――今年は疲れた。
 特に夏以降は心身ともに疲労困憊で、これまでの人生で感じたことがないほどの倦怠感に襲われた。
 徹夜するにしても(フィジカル)、集中力とか粘りとかを発揮するにしても(メンタル)、アイデアやユーモアにしても(センス)、初めて限界を感じ、諦めを受け入れることになった。
 相当ショックなことではあるが、年齢的にも年数的にもそういう時期に達してしまったのだろうと思う。これから先は、これまでと同じようにはできないということだ。
 もちろん抵抗はする。でも最終的には受け入れなければならない。受け入れた上で対策を考え、実行しなければならない。これは今年の反省であり、来年以降のテーマになる。

 今年のもっともインパクトのあった出来事(というか事件)はやはり骨折。5月31日にサーフボードが当たり顔面を骨折した。
 幸いにして外見的にはほとんど回復している(若干の痺れは残っているが大した問題ではない)。ただ視力が落ちた。「落ちた」こと以上に、ボケるようになった。原稿を書いていると画面の文字が、文字ではなく抽象画のように見えてしまうことがある。視神経の問題だと思うが、体力・気力の衰えとも重なって、長時間の執筆が難しくなった。これも今後、仕事のやり方やライフスタイルに影響することになりそうだ。
 またケガをしたことによって、わずかながら人生観も変わったような気がする。早い話が人生設計みたいなことを現実的に考える必要性を痛感した。来年以降、この考えが変らなければ、それに沿って残りの人生を生きていくことになる。

 仕事について。
 昨年(2003年)確信犯的に仕事をしなかったこともあって、「仕事するぞ」と意欲を高めて臨んだ年だった。
 そんなわけで1月からよく働いた。昨年末から取材が始まっていたベルマーレの「クラブ10年史」をメインに、「サッカー批評」や「スポルティーバ」などの雑誌の仕事をした。
 その結果、「10年史」が思いの外煩雑だったこともあり、昼間に取材、夜に原稿という毎日を過ごすことになった。自分の体力と精神力を過信していたこともあって、ひとつひとつの仕事が粗くなってしまったことは否めない。「量」を意識して臨んだ年とはいえ、「質」の面では不満が残ることになった。また疲労を蓄積させた結果、その後脱力感に襲われるというデメリットもあった。

 2月からは、ベルマーレのホームページでコラム「風の先の終わり、海の波の続き」と、「ストライカー」で日本代表シンクロストーリー「ファーイーストフットボールカフェ」、の2つの連載が始まった。
「FEFC」は以前から関心を持っていたフィクション形式で、しかしドキュメントを描くもので、今後にもつながる試金石になると思う。

 春には、昨年から取り組んでいた単行本「プロサッカー選手になるには」が出版になった。
 またアテネ五輪を控えて、プレビューものの原稿を何本か書いた。なかでも女子サッカーの原稿は非常に面白かった。刺激も受けた。

 そのアテネ五輪期間中は、Yahoo×スポナビの速報ページを担当。これによって夜から未明にかけての時間が拘束されることになった。
 そんな最中に2週間という短期間で単行本「日韓ワールドカップの覚書」を書き上げなければならないことになり、心身ともに疲弊した。9月上旬に脱稿した後すぐに、次の書き下ろしに取り掛からなければならなかったのだが、さすがにガス欠状態で筆が進まなかった。結果、版元に迷惑をかけることになってしまった。
 そもそも「覚書」以前に話が決まっていた単行本だったわけで、今回の経験(オーバーブッキング)を深く反省し、繰り返さないようにしなければならない。

 秋から冬にかけてはその書き下ろし単行本に取り組みながら、雑誌の仕事をこなすという毎日だった。気がついたら12月になっていた。
 とはいえ、今年の仕事のほとんどは「サッカー」で、それ以外の仕事をほとんどできない年になってしまった。これは来年へ向けて再考する必要がある。
 その他、今年はテレビ(ドラマの原案)に関わることができた。もちろん僕の仕事は「物書き」だから、テレビは余禄にすぎないが、ちょっと面白い経験だった。

 というわけで生活を犠牲にし、心身を痛めつけ、おまけに周囲の迷惑をかけながらではあったが、2004年はとにもかくにも仕事に邁進した。
 結果、以下の2冊の単行本が残った。

        

 単行本はコスト的には折り合わないが、それでもこうして形に残るという達成感はある。それにまとまった仕事をすることのやりがいはやはり大きいので、来年以降もこうした仕事ができるようにしたいと思う。もちろん「著者」になるということは、いつでも誰でもできることではないので、地道に継続して実現できるように頑張らなければならない。

 仕事に関するコストという面では、海外取材は2回のみ、それ以外にも大きな取材旅行は石垣島へ行ったくらいなので、移動費は少なかった。
 ただ2月にPCが壊れ、デスクトップ、ノートと2台のPCを購入したので、その部分では支出もあった。

 来年について。
 仕事に関しては先日脱稿したばかりの『星屑たち』(双葉社)が1月中旬に刊行になる。
 また「ワールドサッカーグラフィック」にて新しい連載が始まる。これは日本サッカーを時間的にも空間的にも俯瞰し、現状をルポタージュし、未来への道筋を探ろうという、非常にガラの大きな企画。これまでサッカー界にはなかったノンフィクションを目指して頑張るつもり。

 2005年の仕事のメインはやはりワールドカップ最終予選にならざるをえないと思う。2月から始まるホーム&アウェーで日本代表を追えば、それだけで時間もコストも相当費やすことになる。
 ただ「費やす」だけにはしたくないとも思っている。そのためにも従来とは違う視点や切り口を常に模索しながら取材するつもり。
 またサッカー以外のスポーツ、ラグビーやプロ野球、あるいは競技の枠を超えた日本スポーツ、スポーツの枠を超えた日本、という取り組み方もしてみたいと考えている。

 いずれにしても、いま僕がやるべきことはリカバリーとリフレッシュ。
 2004年の疲労をとることはもちろんだが、18年間ライターとして続けてきたこの生活による蓄積疲労から回復すること、そして「飽き」「マンネリ」を洗い流し、意欲に満ちて前や奥へ進むエネルギーを手に入れることこそが、目下の最大のテーマだ。
 年が明ければ40歳になる。人としても、男としても、ライターとしても、そろそろ折り返しなのだと思う。
「老いる」ということにもリアリティも出てきた。これからの数年が後半戦を決めることになる……という予感もひしひしと感じる。
 来年は、そう考えれば、大切な年になりそうだ。





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