「J2」へ行こう!                 07.7.25

  日本代表がアジアと熱闘を繰り広げている真っ最中だが、今回は国内サッカーについて取り上げたい。
 J2である。「世界一過酷」なんて言う人もいるほど、ハードなスケジュールをこなすリーグである。
 今季でいえば、13チームによる4回戦総当り。各チームが48試合を戦う。1年は52週だから、通年で行なってもほぼ毎週ゲームを行なわなければ消化できない。
 実際には3ヶ月間のシーズンオフがあるから、9ヶ月で48試合。いやはや大変である。ミッドウィークにもゲームをこなしながら、とにかく試合を重ねていくリーグ。それが「J2」というわけだ。

 そんなわけで日本代表がアジアカップを戦っていようと、J2に休みはない(そういえば去年ドイツでワールドカップが開催されている間もJ2は行なわれていた)。日本各地で6試合、必ず行なわれている。
 だから……いささか唐突だが、「J2を見に行ってみよう!」とオススメしたい。

 というのも実はJ2は意外と面白いからだ。
 確かに個々の選手の能力は、J1と比べて劣ることが多い。スター選手もいない。
 しかし、だからこそ「チーム」が見える。「サッカー」も見える。J1のように個人の能力で打開できないからこそ、“サッカーの肝”がよく見えるのだ。

 例えば「攻守の切り換え」。
 やっぱりJ1と比べれば遅い。遅い、というかうまくいかない。でも、うまくいかないからこそ、何をやろうとしているのかはよく伝わってくるし、なぜうまくいかないのかもわかる。
 FWが相手ボールを追いまくり、高い位置から攻撃をスタートしようとするチームがある。しかし、せっかくいいポジションでマイボールにしたのに、押し上げがなく、FWが孤立してしまったりする。慌てて中盤の選手が駆け上がってくる。でも残念ながら間に合わない。
 スピーディに厚みのある攻撃を仕掛けるためには、チームの連動性が不可欠なのだとよくわかる。

 逆に自陣にリトリート(基本のポジションに下がって)して待ち受けるチームもある。高い“人口密度”でスペースを消して守っているから崩されにくい。でもマイボールになっても、やっぱり人口密度は高いまま。足元パスの連続で、いつまで経っても攻撃が始まらない。
 そんな場面を見つめていると、走る(動く)、それも長い距離を走る(移動する)ことの重要性が手にとるようにわかるのである。

 もちろん勝負の醍醐味もある。これは1部だろうと2部だろうと同じだ。
 特に昇格のかかっているチームは必死だ。現在第3クール(3巡目)。もう折り返し点を過ぎている。
 ちなみに「昇格のかかっているチーム」は札幌、京都、仙台、東京V、湘南、福岡あたりまで。
 前半戦は堅守の札幌がリードしてきたが、ここへ来て個人能力で勝る京都、東京V、福岡あたりが盛り返してきている。この4チームが有力と言っていいだろう。これに仙台、湘南がチームの総合力で食らいついているという状況。
 もちろん御存知の通り、J2は毎年、最後の最後までもつれる。これからまだまだ波乱もあるだろう。長丁場だけにドラマが尽きないのもJ2の特徴である。

 さらに「スター選手はいない」と書いたが、見るべき選手がいないわけではない。
 札幌の右サイド、藤田はU20ワールドカップでも活躍した次代の“日の丸”候補。仙台の梁や福岡の久藤もコンスタントにいい働きをしている。プレーメーカーとして能力は高い。
 また外国人では、京都のパウリーニョと東京Vのフッキは迫力十分。パワーとスピードで際立っている。それに湘南のアジエル。もし今季湘南が昇格できなければ、来年は間違いなくJ1のどこかのチームが獲得するだろう。ドリブル、パス、シュートとすべてに切れ味鋭い。まさしく「見る価値」のある選手だ。

 とにかくJ1がインターバルに入っているいまこそ、J2を見る絶好の機会。もちろん当日券でOK。チケットもJ1に比べれば若干安い。
 ぜひオススメする。


*この原稿は「携帯サイト」に掲載されたものです。