来季は33クラブになる可能性も……。             07.11.14

 J1、J2とも残すところ3試合となり、まさしく“クライマックスシリーズ”の真っ只中にある。
 浦和レッズの2連覇は? ガンバ大阪のメイクドラマは? ヴェルディは大丈夫か?などなど興味は尽きないところだが、少し先回りして来季2008シーズンの話をする。
 ロッソ熊本のJ2入りがほぼ確実になったからだ。

 1999年に10チームで創設したJ2は、「少しずつ」チーム数を増やし、現在13チームで構成されている。
 しかも、その間にJ1も16から18チームへと枠を広げたので、J1・J2を合わせたクラブ数は1999年=26、現在=31と、5チーム増えたことになる。

 ちなみに「少しずつ」しかチームを増やさなかったのは、例えば「ザスパ草津」のようなケースがあったからだ。
 2005年にJ2入りした草津が加盟した直後に経営難に陥ってしまったのだ。これを見て、Jリーグは、その後チームを増やすことに慎重になった。

 それでも一昨年には愛媛FCの加入を認めるなど、Jリーグとしては「チームを増やしていく」という方針は一貫して揺らいでいない。
 増加のスピードを速めたり、緩めたりの操作をしつつも、基本的には「日本の津々浦々にJクラブを作る」ことを目指し続けているのである。

 とりわけ鬼武チェアマンになってからは積極的な施策が増えている。
 前・鈴木チェアマンの時代には「身の丈経営」の徹底により、各クラブの経営強化とリーグの安定を第一義に取り組んでいたが、現チェアマンになってからは「イレブンミリオン」など再び拡大政策に転じていた。

 そんなこともあり、ロッソ熊本については早い時期から昇格承認という流れができあがっていた。J2昇格条件であるJFL4位以上を確定したことで、来週の理事会で「承認」されることはほぼ間違いない。
 これでJ2は現在の13から14チームになる。

 ……と思っていたら、実はもう1チーム増える可能性があるという。
 FC岐阜である。目下JFL4位。このまま4位以内でフィニッシュすれば、岐阜もJ2に加えるというのである。
 つまり、来季のJ2は一気に15チームになる可能性があるということだ。
 そして、その場合にはリーグ方式を、現在の「4回戦総当り」から、「3回戦総当り」へと移行しようという話もすでに出ている。

 大きな賭けである。
 まずチーム数の増加。
 サッカーファン全体のパイ(分子)が急激に膨らむわけではない以上、チーム数(分母)の拡大は、それぞれの取り分(食いぶち)を減らすことになる。
 そこに3回戦制である。
 試合数が減る(今季各チームのホームゲームは24試合。15チームで3回戦となった場合には21試合)ということは、言うまでもなく収入を得る機会が減るということだ。入場料収入はもちろんグッズ販売収入なども商売の機会(試合)が少なくなれば、当然減ることになる。
 クラブ経営が圧迫される懸念が強い。

 しかもJ2内に限ったことではなく、J1チームも含めたリーグ全体に影響は及ぶ。
 チーム(それもリッチとはいえないチーム)が増えれば増えるほど、相互扶助の負担は大きくなるからだ。結論だけ言えば、各チームが受け取る「分配金」は当然目減りする。

 もちろん「Jクラブを全国津々浦々に」がJリーグの<理念>であり、<存在意義>である以上、チームを増やしていくことはJリーグにとって<責務>でもある。
 ただタイミングは見極めなければいけない。
 いまこの時期に、チームを増やし、試合数を減らしても大丈夫かどうか。
 Jリーグ(事務局)がその判断を見誤ると、大きな痛手を被ることになる。

 僕の見解としては、実はちょっと不安である。
 J2中位以下は、現状でさえ「ぎりぎり」で経営を成り立たせているクラブが多い。収入減少が必至の政策をとる時期ではない気がする。危険である。
 しかも、経営の悪化は(言うまでもなく)結局は「チーム力」の低下を招いてしまう。お金がないから選手を削らなければ……の末に、チームの魅力が下がり、ゲームの質が落ちることになる。
 もちろんJクラブにとってチーム(選手)とゲームこそが商品だ。その劣化は、当然人気の低迷に直結し、わかりやすく言えば観客が離れていくことになる。
 いわゆる悪循環にはまってしまいかねないのである。

 さらに付け加えれば、Jリーグの判断力そのものに最近信頼感がない。
 川崎Fが被害者となった「ベストメンバー問題」にせよ、やっぱり川崎Fに降りかかった「ドーピング問題」にせよ、そして昇格目前のロッソ熊本に対する「胸スポンサー問題」にせよ、Jリーグ事務局の能力を疑わざるをえない問題が頻出しているからだ。

「全国にJクラブを」という理想にはもちろん賛成だ。だが、Jリーグが「現実」を把握し、判断できているかはちょっと疑問。
 だから“クライマックス”の熱気の裏側で、来季以降のJリーグを想ってちょっと背筋が寒くなっている。


*この原稿は「携帯サイト」に掲載されたものです。