サッカー協会vsJリーグ?                      08.11.24

 犬飼基昭・日本サッカー協会会長が「ナビスコ杯を五輪(U−23)と同じカテゴリーに」と発言したのをきっかけに、サッカー協会とJリーグが対立している。
 鬼武健二・Jリーグチェアマンが「JリーグのことはJリーグで決める。とやかく言われる必要はない」と反論すれば、犬飼会長も「Jリーグは協会傘下の一組織でしょ」とまくし立てたという。
 みっともない話である。みっともないだけでなく、悲しくも残念な話だ。

 そもそも犬飼会長が「秋春制」を頻繁に口にし始めた頃から雲行きは怪しかった。
 言うまでもなく「Jリーグ」のシーズンである。しかもJリーグは「将来構想委員会」を作り、リーグの将来像について具体的な検討をしていたところだった。現在の主なテーマは、(J1とJ2、さらにその下のカテゴリーも含めた)「リーグ構造の見直し」だが、委員会の議題にはシーズン時期も含まれている。
 にもかかわらず、そうした経緯を無視して、サッカー協会会長が“私案”を再三にわたって口にしていたのだから、Jリーグとしては面白くなかったに違いない、
 そこに今度は「ナビスコ杯」である。もともとたまっていた不満が噴出したというわけだ。

 個人的には「秋春制移行」にせよ、「ナビスコ杯改革」にせよ、十分検討に値するテーマだと思う。
 Jリーグの開催時期やリーグカップのあり方に限らず、天皇杯も含めたカレンダーの再構築、サテライトリーグやJFLなどピラミッド構造の調整(移籍規定の見直しとの関連も出てくる)は、日本サッカーの未来を模索する上で、重要課題だと考えるからだ。
 日本リーグからJリーグへの移行から十数年が経ち、あちこちで歪みが出てきているこれらの問題を再考するタイミングが来たという思いもある。

 しかし、それらはサッカー協会とJリーグが、というより日本サッカー界全体が共有して取り組むべき課題であって、「上部団体のサッカー協会が」とか、「口出し無用」とか、権威や縄張りを主張するべきことではない。
 まして、両者がいがみ合っていては話にならない。

 半年ほど前、サッカー協会会長の交代に際して、「この後に混乱が起きるだろう。日本サッカー界が当分バタバタすることになるかもしれない」というようなことを、このコラムで書いた。
 しかし、まさかこんな低次元な縄張り争いで、「バタバタする」とは僕も思っていなかった。

 ご存知の方も多いだろうが念のために説明しておけば、サッカー協会もJリーグも同じビルに入っている。階段で行き来できる上と下である。
 2002年ワールドカップの成果で、この「JFAハウス」を手に入れたとき、当時の協会幹部たちは「長年の悲願がやっと実現した」と本当に嬉しそうだった。かつて日本サッカー協会は、個人宅の2階を間借りしていたのだ。それがやっと“自前の家”を手に入れることができ、しかもそれまでは別れて住んでいた協会とJリーグが同居できると喜んでいたのだ。

 そんな困窮の時代を乗り切ってきた一人である長沼健(故人)元会長は、喜んだ後で、こう付け加えたものだ。
「サッカー協会とJリーグが同じビルにいることで、職員同士のコミュニケーションが密になり、いろんなことがスムーズにいくようになるはず。だって階段でひょいっと行き来できるんだから」

 それがこのテイタラクである。
 みっともないだけでなく、悲しいことである。



*この原稿は「携帯サイト」に掲載されたものです。