8月1日(金)
「わたしを束ねないで/あらせいとうの花のように/白い葱のように/束ねないでください わたしは稲穂/秋 大地が胸を焦がす/見渡す限りの金色の稲穂
 わたしを止めないで/標本箱の昆虫のように/高原からきた絵葉書のように/止めないでください わたしは羽撃き/こやみなく空のひろさをかいさぐっている/目には見えないつばさの音
 わたしを注がないで/日常性に薄められた牛乳のように/ぬるい酒のように/注がないでください わたしは海/夜 とほうもなく満ちてくる/苦い潮 ふちのない水
 わたしを名付けないで/娘という名 妻という名/重々しい母という名でしつらえた座に/坐りきりにさせないでください わたしは風/りんごの木と/泉のありかを知っている風
 わたしを区切らないで/「,」や「.」いくつかの段落/そしておしまに「さようなら」があったりする手紙のようには/こまめにけりをつけないでください 私は終わりのない文章/川と同じに/はてしなく流れていく 拡がっていく 一行の詩」
 こういうのはちょっと苦手なのですが、あまりにもしっくりきたので、ちょっと紹介してみました。新川和江さんという人の詩です(あ、金八先生でやってたやつの全文です)。
 というわけで8月ーっ! 独自ドメイン取得に伴い、このサイトのURL、それにメールアドレスを変更しました。「独自ドメイン」を取ったのは僕のように根っこがなく、土地も連絡先も転々と変わっていく人間には、ひとつくらい変わらないものがあった方がいいだろう、と考えたからです。もっと現実的な話をすれば、ネット業界もこれから再編が進んでいくはずで、そのたびにアドレス変更を通知しなければならないのは自分にとっても相手にとっても煩雑だと思ったので。

 8月2日(土)
 梅雨(ようやく)明け。よかった、よかった。でも夏はあるのだろうか?
 横浜vs神戸@横国。前半まったりとした展開も、後半マリノスが先制し、そのまま優勝。岡田監督の記者会見を聞きながら、ウズベキスタンからジョホールバル、そしてフランスへの道程で、何度も耳にした岡ちゃん節が蘇るようだった。
 それにしても今日の横国の記者席はさみしいくらい。新聞のみなさんはともかく、フリーランスの姿がほとんどなかったのだ。どうもマリノスはフリーライターにあまり人気がないらしい。てゆーか食指が動かないらしい。身近な人たちの声も「ジェフの最後を見る方が魅力的」「マリノスが優勝してもつまらない」などなどだった。なんでだろう♪

 8月3日(日)
 アドレス変更のお知らせを一斉に送ったので、たくさんの人から返信をもらって、それにまた返事してという感じで、ここ数日、旧交を温めています。そんな些細なことでちょっと嬉しくなったりしています。

 8月4日(月)
 取材のお願い&打ち合わせ@サッカー協会。ちょうどプレスルームで報知の井上記者と遭遇したら、今月から1年間休職して英国に留学するとのこと。あまり親しく口を利いたことはなかったものの、何となくそんなこと(休職&留学)する人に見えなかったので少しびっくり。人は見かけによらない、いや僕のイメージなんてアテにならないと改めて自戒。それにしても女性で独身でO‐30で、これから新しい世界にチャレンジしようというのはなかなかかっこいいと思う(あ、もしかしてこういう感覚も差別と怒られてしまうのだろうか)。

 8月5日(火)
 夕立。フロントガラスが見えなくなるくらいの激しい雨。国立競技場近辺に辿りついたら、今度は気分が悪くなるほどの人混み。しかも普段のサッカーの時とはどこか違う喧騒。人の流れも無秩序だし、一人一人の動きも妙にわさわさしてるし、テレビ局の中継車が狭い道路を塞いで渋滞してるし…。
 てなわけでFC東京vsレアルマドリッド@国立。スーパースター軍団の中のウルトラヒーローがFKを決めて外タレチームが圧勝。
 山さん、室さんと歌舞伎町。月夜野で飲んで、いつものように二人と別れて、まりはなで飲んで、すっからかんになって早朝帰宅。実はちょっと不愉快、かなりな寂しい思いの帰路になってしまった。それはお店のせいではなく僕の責任で、彼女の方が正しく、僕の方が正しくないことを、僕は100%認めているのだが、「正しい/正しくない」と「好き/嫌い」はまったく別の物差しなわけで、その点では僕はどうも彼女のことが好きではなくなってしまったわけで、となるとわざわざ飲みに行ったりはしなくなるだろうなあ、と考えて。

 8月6日(水)
 豊島吉博@サッカー協会。事務局長の豊島さんに事務局のこと、新ビルのことを伺う予定が、いつもながらの積極的かつ協力的な豊島さんのおかげで事務局職員5人の方にも取材。アポ取りで苦労しそうだなと懸念していた取材がこれで一気に終了。助かる。結果的に4時間以上を渋谷のビルで過ごすことになったけど。

 8月7日(木)
 アマゾンと北海道の古本屋から宅配便が届く。アマゾンで購入したのは「21世紀日本の情報戦略」というビジネス書(とこの書店で探しても見つからなかった。出版不況→質より量の出版点数増加→書店の棚不足→返本スピードのアップ→良書が読者の目に触れない→結局売れない、という悪循環は何とかしてほしい)と、偶然ネット上で発見した「戻り川心中」という小説。北海道の古本屋「亜本屋」で購入したのはここ数年ずっと頭の隅に引っ掛かっていた「愚か者の舟」というバブルを扱った、これも小説。

 8月8日(金)
 台風接近中。生温かい風が吹いている。うちのテレビの前で、終日でだらだらと過ごした情けない一日。

 8月9日(土)
 台風上陸。原爆、終戦関連のテレビ番組と、台風関連のニュースを見ながら、今日も一日の大部分をテレビの前。突然、工藤夕貴の顔が浮かんで、「台風クラブ」が見たくなるが、この上レンタルビデオを借りてきたのではさすがにマズイと考えて、断腸の思いで我慢する。

 8月10日(日)
 大宮vs湘南@大宮。初めての大宮サッカー場。コンパクトで見やすくいサッカー専用競技場。もっとも僕はキックオフ時間を勘違いしていて、少し遅刻してしまった。観戦中、汗がだらだら流れて、そこへちょっとした風が吹き、浦和で打ち上げられている花火の音が時折響いたりして、夏っぽい90分間だった。
 試合は終了間際、パラシオスの凄まじいFKで湘南が追いつき、2対2のドロー。これで大宮と湘南は昨シーズン4試合+今シーズン3試合、すべて引き分け。同一カードでこれだけ引き分けが続くのは、もしかして記録ではないだろうか。10月の8試合目が楽しみといえば楽しみ。

 8月11日(月)
 先週の取材@サッカー協会のテープ起こし。長時間取材だったことと、僕の集中力のなさの為、ほぼ一日かかってしまった。

 8月12日(火)
 先日入手した「戻り川心中」(連城三紀彦)を枕元に置いて今日から読み始める。上京したての頃、池袋文芸地下で見たお気に入りの映画「もどり川」の原作で、20年近くかかってようやく手にすることができた文庫本。ちなみにこの本は表題作を含む8篇の連作集で「火葬」シリーズと呼ばれていて、著者によれば「ミステリーと恋愛の融合」を目指して書かれたものとのこと。久々の連城作品にノスタルジックな気分になる。一晩に一作以上読まない、と決めて、ゆったり読むつもり。

 8月13日(水)
 横浜vs磐田@横国。1st優勝を飾ったばかりのマリノスだが、やはりというかアレアレ?という内容で黒星。
 深夜、U17世界選手権@TBS。開幕のフィンランドvs中国を見たのだが、中国の若者たちがとてもうまくて速くてびっくりする。これは強敵になるのではないか。ちなみに日本が予選敗退したこの大会に友人の浅田くんが取材に行っている。たぶん日本から唯一の取材者だと思われる。健闘を祈りたい。
 あとゴール裏に「MONDO」という立て看板が出ていたが、あれは人工芝メーカー。この大会(今日の試合もそうだったけど)ではFIFA主催の世界大会として初めて人工芝ピッチが採用されているのだ。今日のゲームを見ている限りでは問題ないどころか、選手のパフォーマンスを極めて等身大に発揮させているように見えた。

 8月14日(木)
 雨。涼しい、というより寒いくらい。ぺりかん社の塚本さんからのメールにも「もう夏は終わりでしょうか」とあった。そういえば半ズボンで出掛けた昨晩の横国も肌寒いくらいだったし、そこで会った大住さんにも「もう夏は終わりだよ」と告げられた。本当に夏はもう終わったのだろうか。てゆーか、夏はあったのだろうか。てゆーか、ぺりかん社の仕事をさすがにそろそろ脱稿しなければいけないのではないだろうか。
 午後、浜口博行@EAFF。EAFFというのは東アジアサッカー連盟のこと。昨年プレジデント誌で連載した「プロジェクトワールドカップ」に続き、今回はワールドカップ以後の小倉純二FIFA理事選と東アジア連盟について話を伺う。
 夜、田中くんから突然電話。三軒茶屋で飲んでるので、よかったら…というお誘い。二つ返事でほいほい出掛けて、田中くんと同じ編集部で働く三浦さんと3人で、2時すぎまで飲む。三浦さんはぶっちゃけてて初対面とは思えず、しかも少し経って気づいたのだが、よく気が利き、実は賢く、おまけになかなか優しい人だった。

 8月15日(金)
 神宮花火に誘われていたのだけど、原稿書きの準備のため終日自宅。花火も雨のため順延になったらしい。

 8月16日(土)
 原稿書きの一日。はかばかしくない。

 8月17日(日)
 昼まで原稿書き。午後、休憩&仮眠。夜から原稿書き。

 8月18日(月)
 午前まで原稿書き。昼、都並敏史@二子玉川。取材テーマは「ドーハ10年」。帰宅後、午後、原稿書き。夕方、就寝。

 8月19日(火)

 3時起床、原稿書き。夕方仮眠、夜、起床。夜中から原稿書き。

 8月20日(水)
 昼ごろ原稿アップ。午後、仮眠。夕方、起床。
 日本vsナイジェリア@国立。もしもこれがラグビーだったらたぶん「Aマッチ」とは認められないようなメンバー構成のナイジェリア相手に圧勝。
 夜中、原稿書き、の予定だったのだが、何だか体も頭も言うこときかないので、早々に諦めて就寝。

 8月21日(木)
 午前、起床。高校野球と原稿書き。

 8月22日(金)
 久々の夏らしい一日。しかし、出掛ける余裕はまったくなく、青空を恨めしく眺めながら、昨日と全く同じ一日。

 8月23日(土)
 一昨日と昨日と同じ一日。昨日以上に晴れ渡っている空を恨めしく思ったことまで同じ一日。
 高校野球は常総学院が優勝。木内監督の有終の美を飾った。それにしても今大会はベンチ入りが18人になったこともあったのだろうけど、ほとんどプロ並に継投や代打を起用するチームが多かった。しかも出てくる投手や打者がみんなハイレベルで、いつの間にかすごいことになってるんだなあと驚き半分、感心半分だった。あと野球が上手な選手やチームも多かった。ちょっとした間合いとか、スキのつき方とか。そんなディテールとか、ワビサビをわかっているチーム同士のゲームは見ていて本当に面白かった。

 8月24日(日)
 好天。ぼけーっとドライブをして、そのまま公園で読書など。昨夜中に原稿が終了したので、この1週間の過緊張をほぐすべく、意識的にのんびり過ごす。持参した本は『風の歌を聴け』。2、3日前の深夜に突然、昔僕が大好きだったシーンが浮かんできたため。ちなみにそのシーンとは指が4本しかない女の子に、「僕」が「不便?」と問いかけ、彼女が「手袋をはめるときにね」と答えるところ。いまの前の前の前に住んでいたアパートでは書き写して壁に貼っていた。
 ちなみに公園には僕の他にも子供連れの家族とかホームレスとかがいて、子供が噴水に落ちそうになって母親が飛んできたり、ホームレスのみなさんが木陰にたむろしながら競馬中継を聴いていたりと、いかにも週末風だった。
 僕がごろごろしていたベンチには「7月7日 AM5:00 Y.Y ここにあり」という落書きがあった。YYくんは七夕の早朝、どんな気持ちでここにいたのだろう。空を眺めながらちょっと考えてみたけど、もちろん僕には想像もつかなかった。でも、もしかしたらYくんとYちゃんだったのかもしれないと思いついて、少し嬉しくなったり、羨ましくなったりした。
 その後、村上春樹のことを考え、すでに20年以上前に書かれたこの本のことを考え、この本を通って大人になっていった僕らの世代のことを考える。そして、学生時代にこの本を手に語り合った友達のことを考え、当時の僕のことを考え、いまの友達や僕のことを考えたら、何だかわからないけど笑いがこみ上げてきた。
 日が傾いてから家路へ。インターFMにチューナーを合わせたカーラジオからは、まるで当然のようにビーチボーイズが流れてきて、僕はまた笑った。ルームミラーの中に大人なんだか子供なんだかわからない38歳の男の顔があった(というわけで村上春樹な一日であった)。

 8月25日(月)
 午前中に仕事の連絡などを済ませ、午後はこの夏初めてプールへ。50メートルを何度か往復し、プールサイドで昨日の続きの『風の歌…』を読み、また泳ぎ、を繰り返す。快晴。でも仰向けになって見上げた空は随分高かった。

 8月26日(火)
 中断していた単行本の構成、原稿下書きなど。

 8月27日(水)
 ベルマーレの短い原稿を2本。一つは週末のマッチデープログラム、もう一つはサッカーダイジェストの「助っ人列伝」。

 8月28日(木)
 朝、俊ちゃんと辻堂へ。サーフィン。やっぱり海はとても気持ちいい。心身ともに気持ちいい。海っぺりに住みたいなあ、と改めて強く思う。
 あとサーフィン終わり際に右足親指に激痛。海に鮮血がぱっと広がり…。なんと親指の爪がぺろりとはげてしまった。都内に戻ってから病院へ。辛うじてくっついている爪を全部はがし消毒。僕があんまり痛がるので、看護婦さんが「握ってていいよ」と手を差し出してくれた。天使に見えた。
 ちなみに僕の親指の爪は両足ともひどい巻き爪で、ナイキのマークのように湾曲している。いつも肉に食い込んで痛かったので、もしかしてこれを機に治ればありがたいなあと思ったのだが、残念ながら9割はまた同じように丸まった爪が生えてくるとのこと。

 8月29日(金)
 午後、駒沢病院。親指は化膿もしてなくてどうやら大丈夫そう。昨日より痛みもなくなったし、歩くのに不便な以外は問題なし。でも、海はもちろん、お風呂なども当分厳禁とのお達し。
 夕方、ベッチーニョ@大神。Jリーグ昇格当時など、懐かしい思い出話を語り合いながらの取材。その後、彼と彼のファン、それにベルマーレのスタッフのみなさんと飲み。楽しい時間はあっという間に過ぎていき、帰宅は2時すぎ。

 8月30日(土)
 家で仕事の段取りなど。世界陸上@フランス、U17サッカー世界選手権@フィンランド、レッジーナvsサンプドリア@イタリアをTVで観戦。

 8月31日(日)
 世界陸上閉幕。女子マラソンの実況は洒落にならないくらいひどかった。




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2003年8月

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