2006年10月


 10月1日(日) 
「この小説と半年くらい付き合っているうちに邪念がなくなって何もかも書き尽くしたという気分になった」(伊藤たかみ)@週刊ブックレビュー。
 昼から、誰パスの校正、携帯サイトの原稿、スポルティーバの原稿など。
 凱旋門賞出走のディープインパクト。残念ながら勝てず。

 10月2日(月)
 安川佳美@永田町。安川さんは東大生。「東大脳」の新書がブレイク中。とてもロジカルで明快な思考の持ち主で、話しながら年齢関係なく共感。
 中山くんを竢o版の大橋さんに紹介。フットボールライフの版元探しのお手伝い。

 10月3日(火)
 西川史子@ホリプロ。美人セレブ女医の西川さんは、やっぱりとても賢い人だった。そうじゃなきゃ、あのキャラはやれない。
 今日から始まった「ドキュメント72時間」@NHKがものすごくよかった。第一回目の今日は神宮花火までの72時間を、その周辺の人々のドキュメントで追っていたのだけど、カメラを向けた人々が――一人暮らしのおばあちゃんも、「死ぬときは部屋で死にたい」というホームレスも、「ホームレスなんていなくなればいい」と言った若者も、伊藤忠のお父さんも、みんないいのだ。カメラの眼差し(の力)を感じる秀逸なドキュメンタリーだった。

 10月4日(水)
 日本×ガーナ@日産スタジアム。0対1。「考えて走るサッカー」といえば聞こえはいいが、攻守にわたって即興プレーが多い。即興で成立すれば、それは考えて走るサッカーなのだろうが、現状、ハーモニーになっているとは言い難い。ゲーム見ながら、ジーコジャパンの匂いを思い出した。スタンドは若干空席あり。試合後、脇本カオルさんを送りがてらクロでメシ飲み。脇本さんと食事は初めて、クロは久々。

 10月5日(木)
 ベルマーレと産能大のコラボレーション会見@伊勢原。会見後、中山くんと、サッカーダイジェストの小須田くんと四方山話@ジョナサン。
「満ち潮はあらゆる水面を一つにする。だが引き潮は同じ空間に多くの陸地と多くの水面(水たまり)を作る」(瀬尾育生・詩人)。そう、海は伸び縮みする、大きな水溜りなのだ。

 10月6日(金)
「演出は演出家がやった方がいい。俺は役者だから、演出されたい」(市村正親)と、「何やってもそんなに面白くない。満たされないから、40過ぎてオナニーばかりしてる」(リリーフランキー)に、うなずくうなずく。
 某サッカー専門誌、廃刊の可能性も、との情報。最近むちゃくちゃだからなぁ、と妙に納得してしまうのが寂しい。

 10月7日(土)
 日本が降伏をしなかった場合、米軍の本土上陸計画の予定地は宮崎、鹿児島、白浜、藤沢だったらしい。「山河燃ゆ」@NHK大河を見ていて初めて知った。
 映画「サイクル」(監督山本政史)。毎晩聞こえてくるサイクル(自転車)の音に誘われて怨念の輪廻(サイクル)にはまりこむ女の子の物語。サイコにしてちょっとホラー。

 10月8日(日)
 徹夜。朝、サーフィン。昼寝。夜、「女薫の旅」(神崎京介)を売れる理由を探りながら一気読み。「青春の野望」(富島健郎)を思い出した。やっぱ性と青春は不可分か。
 せっかく徹夜したのに結局早朝に就寝。

 10月9日(月)
「北朝鮮、核実験!」のニュースを脳の片隅に置きながら、相模湾にて太平洋からの波を待つ。

 10月10日(火)
 中日、セリーグ優勝。落合の涙に、時の流れを実感。
「僕と彼女と彼女の生きる道」@CXの草g剛のセリフ、「本気でやってください」に、はっ。ケレンミのない言葉に息を呑む。あと「私が私であるために」@日本テレビが面白かった。性同一性障害のドラマ。男にして父親役の橋爪功が、とりわけいい。

 10月11日(水)
 徹夜。朝、「夜のピクニック」(恩田陸)読了。昼、サーフィン。午後、ベルマーレの練習を見に@馬入。帰りに高木聖佳さんとメシ@かふね。
 インド対日本@インドで、また停電。もう誰も驚かない。つまりネタにはならない。

 10月12日(木)
 ヤマケイ(山と渓谷社)をインボイスが買収。なんと4500万円なのだと。たった?
 昼、サーフィン。その後、読書&メモ整理@ファミレス。

 10月13日(金)
 左伴繁雄@マリノスタウン。すでに一部開業のマリノスタウンを象徴に、横浜Fマリノスにとってだけでなく「J」を俯瞰できる原稿にするつもり。それにしてもマリノスタウン。すごい。立地もいいし(横浜駅から徒歩)、施設もいいものになりそう。練習グランドに屋根つきスタンドを作る必要なんてあるのか、と僕は疑問持ってたのだけど、この立派な練習場がまた集金の役割も果たす仕組み。イベントへの貸し出しとか、看板スポンサーとか。

 10月14日(土)
 朝、サーフィン。午後、湘南×徳島@平塚。夜、「セーラー服と機関銃」@TBS。薬師丸ひろ子の映画版から25年ぶりにテレビドラマ化!…だったのだが、うーん。あれは高校生の薬師丸ひろ子が、すでに完全にオジサンの渡瀬恒彦に恋心(というより母心に近かった)を抱くからよかったのだ。ミスマッチで。長澤まさみが堤真一に…ではフツウに恋愛対象に見えて興醒め。長澤の歌も「?」だった。もちろん25年前の薬師丸のセリフ回しも、きっと随分ひどかったに違いないのだけど。

 10月15日(日)
「学校の中にお父さんがいます」(凛ちゃん)@僕と彼女と彼女の生きる道。近年の名セリフに加えたい。脚本家の勝利。

 10月16日(月)
 サーフィンをはさんで、午前にプレジデントファミリー、午後にJ+のテープ起こし。

 10月17日(火)
 昼、サーフィン。夕方、歯医者。夜、御無沙汰のみなさんにTEL。康子さんと佐野さんは相変わらず、浅野さんは11月から東京タワーでOLをするのだそうだ。
「鉄板少女アカネ」@日本テレビ。堀北真季が自明の正義を堂々と口にした後、片瀬那々が「暑苦しいっ」と悪態をつくパターンが確立してきた。これでドラマが成立している。それにしても堀北の瞳の透明度は高いなぁ。

 10月18日(水)
 昼、サーフィン。今日から中島博美さんの写真展が開催されている。新宿だし、TOPSだし、どこかでタイミング見つけて覗きに行く予定。

 10月19日(木)
「フットボーライフ」の読者の方からの御葉書を竢o版経由で受け取る。旅先からの絵葉書。同世代のお父さん。「僕もまだまだ角を曲がり続けるつもりです」。こういうのが一番嬉しい。
「プロフェッショナル」@NHKの石原正康を見ながら、不満な編集者の顔が浮かぶ。もっと本気になってくれよと。でも世の中の大半はそのレベル。そうじゃない一握りの人と付き合えるレベルに、俺がまだ達してないということ。だから出会えない。気づいてもらえない。

 10月20日(金)
 午前サーフィン。昼、真壁社長@ベルマーレ。
「嫌われ松子の生涯」@TBS。映画の凝りに凝った世界観を何とかテレビで…の意気込みはわかるが、どうせなら時代背景を「現代」にしてしまった方がピンとくるのではないか。テレビなんだし。あっ、「生涯」じゃなくて「一生」だった。「生涯」じゃ鬼龍院花子になってしまう。きれいだったなぁ、夏目雅子。シブかったなぁ、仲代達也。

 10月21日(土)
 昼、湘南×横浜@平塚。帰宅後、浦和×川崎@ビデオ。アドレナリンの量が違う。湘南の淡々としたプレーぶりが際立つ。
 平塚競技場で、カメラマンの末吉さんに手相を見てもらったら「人生の後半が昇り調子」なのだそうだ。よっしゃ。ちなみに「また結婚する」との御託宣も。

 10月22日(日)
 起きたとき、頭に鈍痛。咳をすると視界にキラキラと銀粉が舞う。かなりきれい…と言っている場合ではない。サーフィン事故の際、明石先生に「将来的に網膜剥離になる可能性が高い」と注意されたことを思い出す。頑張ってくっついてて。俺の網膜。
「天使の梯子」@テレビ朝日がいいドラマだった。ミムラも、渡部豪太も。でも(いくら映画とのタイアップとはいえ)あの挿入シーンはいらないのではないか。小西真奈美や市原隼人を出す必要はなかった。もっと残念だったのは、テーブルの下で二人が手をつなぐ感動的なシーンに、選挙の開票速報のテロップがかぶってしまったことだ。しかもちょうど手の上に。ドラマを一生懸命作った人たちはがっかりしただろうな。せめて数秒ずらしてあげられなかったのかなぁ。

 10月23日(月)
 吉田拓郎31年ぶりのつま恋コンサート@テレビ。世代は少し違うが、人生のシーンがだぶる思い。特に落陽。あのドラマチックなイントロ聞いただけで、ちょっと酸っぱくなる。それにしても吉田拓郎の声はいい。男っぽくて艶っぽくて。

 10月24日(火)
 朝、マンちゃんがゲロ吐いて、一度起きる。最近多いな。
 ナンバーポータビリティ開始。「桶狭間の戦い」と言っていた孫正義率いるソフトバンク軍が、昨晩になって突然割引を発表。まさに奇襲だ。さて陣取り合戦の行方やいかに。

 10月25日(水)
 昼サーフィン。夕方、日本U−21×中国U−21@国立。平山を1トップに2シャドー(増田と苔口)の日本が2対0で快勝。反さんもほっとした表情だった。「関心の低さが気になってましたが、お客さんも2万を超えたみたいで」。いや、ピッチの外はともかく、中についてはまだまだ確信は持ててない様子だった。
 試合後、新宿へ移動して達也さん、室井さん、尾崎さん、優さん、黒木さん、それに途中から田辺さんも加わり、メシ飲み@西口。その前にちょっと抜けて中島さんの写真展@東口を覗く。ロシアあたりの白い部屋の窓辺、日差しに差し込むテーブルの上に毛糸玉な写真が非常に気にいった。部屋のどこかにあるに違いない、ストーブの湯気とぬくもりが感じられて。
 メシ飲みの後、達也さん室井さんと歌舞伎町へ移動して、EXで酔いを冷ましつつ朝まで。ゆっくりしすぎて、帰りは通勤の渋滞に巻き込まれてしまった。失敗。帰宅8時すぎ。

 10月26日(木)
 午後、サーフィン。夜、長らくずるずるやってる単行本と、サッカーJ+の原稿。
「装丁とは単なる本の装飾にあらず。店頭で展覧会のごとく戦わなければならない」(青山二郎)。

 10月27日(金)
「パッチギ」(井筒和幸)。パワフルで繊細で、粗野でやさしい映画。「あいつら世界中に線引きまくっとるんや」。沢尻エリカがいい。すごくいい。

 10月28日(土)
 最近CSでハマっている「山河燃ゆ」@NHK大河では、東京裁判進行中。今日見た回には広田弘毅が出てきた。開戦時の総理大臣としてA級戦犯で処刑された広田弘毅は僕の小学校の先輩である。まだヒロタコウキなんて知らない頃から、だから僕はセンパンという言葉も知っていた。その話題をするときに大人たちは少し声をひそめて話していた。靖国神社に参拝するのがいいとか悪いとか、そんな議論さえまだ起きない時代だった。

 10月29日(日)
 朝、「星々の船」(村山由佳)読了。午後から「サッカーJ+」の原稿。未明に終了。

 10月30日(月)
 早朝、コンビニ弁当をむさぼりながら、そういえば昨日メシ食ってないぞ。むさぼった後、就寝。午後、起床。とりあえず海。あとはのんびりと。
 のんびりとしてると大抵、余計なこと、というか、いまさら考えてもどうしようもないことがあれこれ浮かんでくるから不思議。俺は後悔フェチか。今日浮かんできたのは、友達を草野球に誘わなかったこと(その数日後、彼は事故で逝ってしまった)、婚姻届も離婚届も夕方起きてバタバタと提出したこと。
 いつか僕が死んで、たとえば脳を誰か次の人に提供できるほど医学が進歩していたとしたら、と考えて複雑な気分になる。だって俺の記憶は後悔ばかりだ。きっと次の人に移植されても、後悔の数を数え始めるに決まっている。