野坂立候補で試される国民 名古屋市 川端康生(予備校生18歳)
作家で参議院議員の野坂昭如氏が田中角栄元首相の選挙区である新潟三区から立候補するというニュースを知り、ペンをとった。
先月、予備校での講演で野坂氏に初めて触れ、「この人は本物だ」と感服していた矢先のこのニュース。政治に関することはよくわからないまでも、とかく口先ばかりの今日にあって、損得勘定抜きで自分の持論を実践する氏の心意気は、人間関係で行き詰っていた僕に、進むべき道を教えてくれたような気がする。
政治音痴の僕ではあるが、審判を下す新潟三区の選挙民の方々には、この選挙で裁かれるのは田中元首相だけではない、ということを認識してほしい。田中元首相と共に選挙民の真価も問われるのだ。
現職の法相をして「この程度の国民」と言わせしめた日本国民の、われわれの真の力を今こそ発揮する時なのだ。
全国民が注目している。
<1983年(昭和58年)12月2日 朝日新聞 「声」欄>