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 上田栄治@ベルマーレ大神クラブハウス  05.1.18


 上田さんとは昨年の「クラブ10年史」の取材で久々にお会いして以来、頻繁に顔を合わせ続けている。特に去年は「なでしこジャパン」もあったので話を聞く機会が多かったのだ。
 今回は、ベルマーレのイヤーブックに掲載する監督インタビューのための取材。当然のことながら、この手の取材には(本来マスコミが持っているべき)批判精神は必要ない。そして、もちろん僕にはベルマーレと上田監督に対して人並み以上のシンパシーがある。
 そんなわけで、上田さんもオン/オフ含めて忌憚なく語ってくれて、僕なりに今季のベルマーレの輪郭をつかむことができた。

 ところで上田さんはとても気さくで、柔らかいイメージの人である。誰に対しても分け隔てなく接するし、ダジャレをはじめ場を和ませるために気を遣う人であることは事実だ。
 でも、僕は、それだけではない、と彼と対面するたびにいつも感じる。柔らかいどころかとても固い、やさしいどころか相当厳しい人なのではないか、という印象である。
 自分に対して頑固で厳しい人だからこそ、他人対してやさしく柔らかく接することができるのではないか。
 上田さんは確かに人当たりがいい。相手を不快することはないし、不愉快な顔をすることも滅多にない。でも、だからと言って、気安く接しているといつかガツンとやられる……。そんな怯えをいつも僕は感じて、用心深くなっている。

 ちなみにインタビューは大神のクラブハウスで行なわれた。クラブハウスと言っても、昨年末からそれまで使用していた立派な鉄筋2階建てではなく、その裏手に作られたプレハブの方である。それはあたかも工事現場に併設されているプレハブ小屋のようだった。
 でも、僕は嫌な気持ちにも、寂しい気持ちにもならなかった。それどころか懐かしい気分になって、大森さんたちと「思い出すねぇ」とうなずきあった。
 僕が初めて大神を訪れたのは93年秋のことだった。その頃、去年までショップが併設されていた立派なクラブハウスはまだなく、監督や選手が使用する平屋と、その前にプレハブ小屋があり、そこが広報のためのスペースになっていたのだった。
 雨が降ると鉄製の階段はよく滑って、昇降するのが怖かった。確か灯油のストーブが置かれていたように記憶している。そこで待機したり、選手のインタビューを行なった。テルとかナラとかといった(当時)将来を嘱望された選手たちや、西山や竹村や原崎といった若手の座談会をやったりした。
 聞くところによれば、今年は経営が相当厳しいらしい。それでも、「いま」がこうだから「未来」もこうだとは限らない。へこむ必要はない。
 懐かしいプレハブで、上田監督の話を聞きながら、だから僕はむしろ「未来」が楽しみだった。