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 全日本女子クラブ選手権神奈川県予選@伊勢原市運動公園  05.4.10

 湘南ベルマーレ 10対0 アンチョビ
 湘南ベルマーレ 1対0 ストロングクラブ


 伊勢原市運動公園内自由広場で行なわれたクラブ女子の神奈川予選。ベルマーレソフトボールクラブにとっては初陣となる。

 相手のレベルはわからないにしても、元日本リーグ選手、そればかりか代表クラスの選手も揃えるベルマーレの優勢は疑いようもない。
 だが、それでも初陣、それも過去に例のない挑戦への第一歩、加えて注目度の高さを考えれば、彼女たちにとって決してイージーな試合でないことは想像できた。

 ちなみにこの日の会場(といってもまさに「自由広場」。固いグランド。駐車場としても利用されている)には、テレビカメラ6台、記者、カメラマン数十人が訪れていた。桜の季節とも重なり、大山を望む高台はかなりの賑わいだった。

 1回戦。対するアンチョビのナインたちが、「いつも通りにやろうね」と言い合っている。「緊張!」と叫ぶやや浮ついた笑顔もあった。彼女たちにしたら、この状況はありがたいことなのか、あるいは迷惑なのか、微妙なところだろう。

 試合は先頭打者を高が三振にとり、ベルマーレが最初の攻撃で3点をとり、さらに3回にはトライアウトで入った高のボールを受ける捕手、南谷がホームランを放ち、そのまま10対0で快勝した。
 投手力の差はいかんともしがたく、ちょっとしたプレーの差が蓄積されて、どんどん広がっていった結果だった。

 午後、2試合目。ストロングクラブとの試合は緊迫。0対0のまま延長戦に入り、ページシステムに突入。ベルマーレがようやく1点をとり、競り勝った。
 1回戦の相手とは違い、ストロングクラブには闘争心があった。インターハイで活躍したこともあるという投手のもと、にこやかさを封印して、敵に立ち向かおうとしていた。
 最終イニング、ベルマーレが1点をとった後、一塁で南谷が交錯、スパイクされて右手を負傷した際に、相手選手が言い放った「大したことないよ」の一言に彼女たちの負けん気が垣間見えて、僕は妙な感心をした。勝負していれば、そのくらいの気持ちになるのだ。


     

 試合後、組島監督は「勝つことが至上命令。まだ集まって1ヶ月なので」と苦しかった胸の内を僅かに見せた。「よくやったと言ってやりたいところだが、上を目指すわけだから、ここにレベルを合わせてはいけない」と続けたあたりが、立ち上がったばかりのチームを率い、しかも「普通の結果」では許されない宿命を背負った監督のジレンマでもあるのだろう。
 何はともあれ、「ホッとしている」というのが本音だと思う。

 勝たなければ試合を勝ったベルマーレにとっては、近い将来必ず訪れる敗戦の後、が正念場になる。神奈川県予選は勝ち抜くだろう。関東大会はどうか。全日本は?
 全勝できるわけではないはずで、つまり、決してドリームチームでも、スーパーチームではなく、一クラブチームに過ぎないことが明らかになった後で、選手たちもスタッフも、何より周りの人々が、それを受け入れて、それでもコツコツとこのチームを継続的に支援し続けていけるかどうか。そして、リビングな湘南のソフトボールチームとして根付いていくことができるかどうか。
 だから、「負けた後」に僕は注目している。


              

 それにしてもソフトボール場に翻った黄緑と青のフラッグの爽快さよ。こだまする「ベルマーレ」という響きの幸福さよ。
 サッカーのサポーターのリードに、ソフトボールファンが呼応した瞬間、自由広場はまさしく憧憬となった。
 はじめはベルマーレがソフトボールを助けるという構図だったかもしれない。だが、今日を境に、ソフトボールは疑いようもなくベルマーレの仲間となり、そればかりか「ベルマーレ」を前進させるパワフルなエンジンになった――未来のハッピーへと続く記念すべき、記憶されるべき一日だった。