paris

 全仏オープンテニス取材@パリ        05.5.25〜30


 カルネ片手にメトロへ向かう。
 一回限りのビュレ(切符)ではない。10枚セットのカルネである。おみくじのようなその札を握り締め、今日から3日、パリの西の果てに通うのだ。

 パリ。芸術の都、食の都、流行の発信地。だが、この初夏、チューリヒ経由スイス航空にてシャルル・ド・ゴールに降り立った僕らにとって、シャンゼリゼもサン・ジェルマン・デュ・プレもガイドブックのこやしにすぎない。
 宿泊はブランドショップ林立するオペラ界隈。されどフロントに「オ・ヴォワー(さようなら)」と一声かけてホテルを飛び出したフリーライターと編集T・Tは、オペラ・ガルニエ(劇場)前の交差点、左へ渡りきればそこにシャネルがあるらしい広大な交差点の真っ只中、地底への階段を駆け下りていくのだった。足並も軽やかに。

 出発駅の自動改札に10分の1枚を突っ込む。枝分かれするコンコース。ここは大手町か。大道芸人のアコーデオンがそんな戯言をトリコロールに塗り替える。
 やがて車中の客となる。まずは8号線。使用済のカルネ、一葉がポケットで遊ぶ。未使用の9枚と、既使用の1枚。混ざらないように右と左のポケットに分けた。セーヌを越えて7駅目、La Motte Piquet駅で10号線に乗り換えて、さらに5つか6つ。Porte d’Auteuil駅にてホームに降り立つ。目の前にアディダスの巨大モニュメント。間違いない。ここだ。旅人の不安は解消される。
 右のポッケから、さっきの一枚を取り出し、いざ自動改札へ……と、どうやらここではその必要はないらしい。SORTEと表示される出口までは無人の自動ドアがあるばかりだった。

 地上へ。太陽が眩しい。二日酔いではない。朝寝坊でもない。でも眩しい。
 人の流れ。流されることにする。そう遠くではないはずだ。
 左に涼しげな木々。ブーローニュの森。右は、おっと危ない。はみ出し危険の幹線道路である。そんな小経を5分ほど。流れついたところに人が溜まる。
 パリの西の果て。ローランギャロスである。
(スポルティーバ8月号「ローランギャロスに夜の帳は降りない」より抜粋)


 全仏オープンテニスへ行ってきた。テニスのビッグイベント、それも4大大会の取材は初めてだった。
 ちなみにこの号のスポルティーバは最近スポーツ総合誌で流行の「美女特集」号。このページも、そもそもシャラポワをヒロインとした企画だった。結果的に僕が書いた原稿は、シャラポワも登場させつつ、旅+スポーツ+美女というものになってしまうのだが。